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畳表の発達と畳の変遷
畳は日本古来より利用されている伝統的な床材です。その歴史は古く、ルーツはカヤやアシ等、植物で編まれたむしろにあります。畳らしき物が登場し現在の厚みを持ったものは平安時代からですが、まだまだ一部にしか敷かれておらず、本格的に使用されるようになったのは室町時代の書院作りの登場によって部屋全体に敷かれる様になりました。以後畳は建築様式の変化に伴って発展を遂げていきます。江戸時代に入ると数寄屋造りの誕生とともに茶道がますます盛んになり畳の需要は急速に増え、江戸時代中期には庶民の住まいにも徐々に使用されるようになりました。
江戸中期には畳の管理をする「御畳奉行」なる役職が設けられましたが、明治維新以後にはそうした規制も解かれ、畳が一般社会に広く普及するようになりました。 また、明治から昭和に掛けての変化と激動の時代にもかかわらず、畳は日本人の生活様式に密着し、生活用具としてかけがえのないものとしての歴史を重ねてきました。しかし戦後は生活様式の変化と共に洋風の部屋が増え、残念ながら畳敷きの和室は衰退の一途を辿ってきました。しかし昨今は畳の良さが再び見直されてきています。
ところで昨今では住宅環境の悪化によりその影響は人の身体まで悪影響を及ぼしています。ここ何年か前にやっと法律でも住宅建材の規制が施工され少しはましになったようですが、原因は住宅だけではなく、まだまだ問題は山積しているようです。最近になってエコという言葉がいろんな場面で頻繁に使われていますが、そもそも伝統家屋である日本住宅は究極のエコ住宅です。ほとんどが木(植物)と土と紙で出来ているからです。判りやすいですね。
日本家屋を構成する一部品である畳も本来なら植物で作られていました。ところが今日では経済性や生産性などが優先され、表面上は確かに畳のようですが、昔の畳とは程遠いように思います。見た目だけならまだ良いのですが、身体への影響を考えると、それとは似て非なるものです。昔の畳は本床と呼ばれ、中身のイグサは多孔室でたくさんの空気を含み、保温性や吸湿性、吸音性にたけ、夏には高温多湿な日本の風土と育ってきました。今の畳の中身は巷でよく使われているスチロールのようなものです。何もそのものが悪いわけではありませんが、他方は科学的に成型されたものです。
また、畳そのものも呼吸はしていますが、伝統的な日本家屋の構成の一部品である土壁や木も同じように自然素材で出来ています。これらも畳と同じように多孔質で出来ており同じように呼吸をして、室内環境をよりよい環境に保つ役割をしています。何よりも、それらを互いに使用することによる相乗効果が生まれ、もっと人にとっての身体に良い住空間を与えてくれるのです。 日本住宅は究極のエコ住宅と申しましたが、今こそエコなんて云いますが、一昔前まではそれが当たり前の住環境だったのです。