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極楽浄土を「彼岸」と呼びます。
秋のお彼岸にかかせないものと云えばお墓参りです。
9月の秋分の日をはさんで前後3日の合計7日が秋のお彼岸とされ、春と同様に秋のお彼岸にお墓参りをして仏様を供養することで極楽浄土へ行ける、と考えられてきました。
秋のお彼岸を迎えるには、仏壇・仏具をきれいに掃除し、またお墓も草むしりをしたり墓石の汚れを取り除くなどしてきれいにします。秋のお彼岸用の仏花やお供えなども忘れないようにしましょう。秋のお彼岸のお墓参りにはできるだけ家族全員で揃って出かけたいものです。そして用意した仏花やお線香を手向け、お菓子などを供えます。特に作法はありませんが、先祖を敬う気持ちで家族独りずつ合掌礼拝を行うと良いでしょう。


さて、極楽浄土を「彼岸」と呼び、春・秋のお彼岸にお墓参りを行うという風習は実は日本だけのものと云われており、古くは西暦806年に平城天皇が行った鎮魂の大彼岸法会がはじまりとされています。春・秋のお彼岸にはお寺でも「彼岸会」の法要が営まれますから、お墓参りの際にはお寺の方にも参加して供養をお願いするようにしては如何でしょうか。秋のお彼岸頃には太陽が真東から出て真西に沈みます。そこで秋のお彼岸に夕日を拝むという風習が各地に残されているのです。秋のお彼岸に真西に沈む日=西方にある浄土と云う考え方から、秋のお彼岸に夕日を拝むと功徳を積める、と考えたのでしょう。本来なら毎日なされるのが良いのでしょうが、「暑さ寒さも彼岸まで」の言葉のように、秋のお彼岸頃が外も涼んで過ごしやすく、夕日も美しく見える季節ということで好まれたのではないでしょうか。



秋のお彼岸に仏様に供えたり、また家族みんなで食べたりするものの中に「おはぎ」があります。一方、春のお彼岸には「ぼたもち」を供えて仏様を迎えます。私たちにとって身近なこのふたつの春・秋のお彼岸用のお菓子にはそもそも違いはあるのでしょうか。実はこの2つ、今ではすっかり同じものです。というのも、2つの言葉が作られた当時、秋のお彼岸には収穫したばかりの若い小豆で作ったつぶあんを用いたものを秋のお彼岸頃に咲く花になぞらえ「おはぎ」=萩の花・と呼び、春まで保存して、皮の硬くなった小豆を皮を取り除いて作ったこしあんを用いたものを春の彼岸頃の花の代表になぞらえ「ぼたもち」=牡丹餅・と呼んだとする説があるのですが、小豆の保存技術が確立された今では、2つに違いはありません。もっとも今でも春にはこしあんをつかって「ぼたもち」を作り、秋のお彼岸にはつぶあんを使って「おはぎ」を作る・また春には牡丹の花のように大きく、秋のお彼岸用には萩の葉のように細く作るなどして、季節による違いを演出してその風情を楽しむのは日本人ならではの感性と云えます。先祖を敬う心を忘れずに、尚且つ春・秋のお彼岸を「季節として愉しむ」心もずっと持ち続けたいものです。