三椏、雁皮、楮、この3つの植物の名を聞いて和紙を思い浮かべることの出来る人も少なくなってきました。
もともとは、三国志の頃、後漢時代に開発された紙漉きが、今の朝鮮半島の高句麗から日本に伝わったとされます。その後、仏教伝来で有名な
百済から論語などの書物が伝わり紙の国産化が行われ、三椏・雁皮・楮を使った和紙が誕生します。伝統的な和紙の主な原料は三椏、雁皮、楮ですが、現在、多くの場面で使用されている紙の多くは、木質チップや障子などの型枠である格子を原料としており、紙の大量生産に向いたものとなっています。
和紙の原料となっている三椏、雁皮、楮の特徴は以下のとおりです。三椏は、ジンチョウゲ科ミツマタ属の落葉低木で、必ず枝が三つにわかれることから三椏の名がついたと言われており、主に徳島・愛媛・高知、鳥取から岡山、島根から山口の各山間地で生産され、和紙の材料として利用された記録が現れるのは戦国時代終わりの頃になります。雁皮も、三椏と同じくジンチョウゲ科のミツマタ属の落葉低木であり、主な産地は徳島で、奈良時代に和紙に利用した記録が残っています。楮はクワ科のヒメコウゾとカジノキの雑種で、主に高知で生産されており土佐楮や八女楮、那須楮、石州楮等の種類があり、奈良時代から原料として利用されています。
この和紙の原料である三椏・雁皮・楮はそれぞれの植物の特徴を生かした形で今でも利用されています。例えば、三椏は日本銀行券、金糸銀糸用紙、金箔に挟む箔合紙、かな用書道用紙、美術工芸用紙等に使用されています。雁皮は、金箔や銀箔を打ち伸ばす箔打紙、襟の下用の間似合紙などに使用されています。楮は、障子紙や表具用紙、美術紙、奉書紙、その他多くの紙製品に使用されています。同じ和紙に使われる三椏、雁皮、楮でも使用目的や手段によって使用用途が変わる事がわかります。
三椏・雁皮・楮が利用される理由は以下のとおりです。紙幣に使われる三椏は、明治の頃に紙幣として利用されたことが理由であり、今も日本銀行券(紙幣)として使われていますが、明治政府は最初、紙幣の原料にしようとしたのは雁皮だったと言います。しかし雁皮の栽培が難しいことから諦め、栽培の容易な三椏を選んだという経緯が伝わっています。金箔などの箔打紙として使われる雁皮は、雁皮の生産が希少なことから使用用途が限られています。障子やふすま紙など、多くの紙製品として使用できる楮は、原料となる楮が太くて長く強靭なことが理由となっています。
このように家屋だけでなく紙幣や障子・ふすま紙、箔打紙などに利用される和紙は、原料である三椏、雁皮、楮のそれぞれの材質や生産量に合わせた形で現代でも利用されています。また、三椏・雁皮・楮を原料とした和紙は、多くの紙の種類の中でも極めて質が高く丈夫なので、古くは奈良時代の書物なども残し、歴史を伝えています。三椏や雁皮や楮を使って和紙を生産し始めてからゆうに1000年以上の時を超え、生活環境がガラリと変わった今でも、その有用性や特徴は変わることなく、生活に関わるあらゆる場面で息づいているのです。

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