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大学時代に食べた 奈良の柿の葉すしの思い出
関西の大学に通っていましたが、柿の葉すしは食べたことがありませんでした。それがどこの名物であるかも知らなかったのです。もっとも学生にとっては柿の葉すしのことなど気にもならなかったのです。

ある日、知り合いの女性から引越しを手伝って欲しいと頼まれたのです。彼女は友人の友人として会ったことはありましたが、特別親しく話をしたことはありませんでした。名前を知っている程度の間柄です。彼女の自宅は奈良県にあり、往復3時間程度で帰ってこれるだろうと思ったのです。ナビのない時代のことです。すぐにその考えは甘かったことに気がつきました。荷物を降ろし、彼女の両親の勧めに従い夕食を頂いて帰ることにしました。その食卓で初めて柿の葉すしを目にしたのです。また、お土産に持たされたのも柿の葉すしでした。夕食をご馳走になったというのに、帰る途中に空腹を覚え、柿の葉をはがして中の魚の種類を確かめることもなく、ひたすら口に柿の葉すしをほおばりながら帰ったのです。

柿の葉すしはその大きさと言い、味と言い車の中でつまむにはぴったりの食べ物でした。食べ終わって初めて柿の葉すしは奈良県の名物であることに気がついたのです。おそらく、過去にも柿の葉すしを食べたことはあったのでしょう。しかしながら柿の葉すしをあんなにも印象的に覚えているのは、やはり女性を自宅まで送って行った帰りであったこと、また柿の葉すしがそのお駄賃であったことによるのでしょう。


柿の葉すし本舗たなかのHPより 




それから結構な年数が流れました。今は関東に住み、関西には出張で行くばかりとなりましたが、出張のお土産には必ず柿の葉すしを購入することにしています。柿の葉すしは車の中でも食べやすいのですが、新幹線の中で食べるのにも丁度よいのです。もちろん、社内でも柿の葉すしは購入できますので、駅で柿の葉すしを買い忘れても心配要りません。あの後、風の噂で彼女は見合い結婚したことを知りました。引っ越しの手伝いをさせたのは、親へのせめてもの抵抗だったのではないかと最近思うのです。今、彼女がどこで何をしているのかは知りません。しかしながら、月に一度の出張時に柿の葉すしを買って思い出していることは知らないでしょう。柿の葉すしはいくつかの製造元があり、それぞれファンがついているようです。柿の葉すしと聞くと、味わう前にその引っ越しのことを思い出しますが、いまだにあの時食べた柿の葉すしが一番美味しいように思うのです。いまさらあの柿の葉すしの製造元を聞くために連絡するのも変な話ですがチャンスがあれば柿の葉すしの製造元を聞いてみたいものです。